研修医奮闘記
当院にて地域医療研修に参加した研修医のコメントを掲載しています。
平成29年1月
地域医療研修を振り返って
新屋 琴子
宮崎大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター
私が地域医療研修に高千穂を選んだのは、先輩方のすすめとせっかくなら宮崎市から離れた場所で研修したいという思いからでした。
研修期間中、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリなどさまざまな訪問活動に同行させていただきました。片道40分以上かかるところや車がやっと一台通るほどの道幅しかないところもあり、なかには一軒のみしか住んでいらっしゃらない集落もありました。また、ほとんどの住宅が傾斜地に建っており、住宅に向かう道路はもちろんですが玄関から道路に出るのにも急な坂があり、バスなどの交通手段を利用しようにも高齢の方や足腰が弱った方では坂を下るのは難しいと思いました。訪問診療を必要としている方は多く、高齢化が進むにつれさらに需要が高まる一方で、医院の数や医療者が減少している現状があり、その地域にあった医療を提供することの難しさを感じました。しかし、その状況を支え、さらにはより良いものへ変えていこうと医師、看護師、リハビリ、MSW、行政など様々な職種の方々が協力し尽力されていることに感銘を受けました。また、在宅診療の中で患者さんがいかに安らかに過ごし、いかに望む最期を迎えるかを考えることは、同時に患者さんが最後まで患者さんらしく生きることをサポートすることだと感じました。
まさか真冬に研修することになるとは思っておらず、鹿児島と宮崎市内で育った私には少々厳しい寒さでしたが、私の腕ほどあるつららや凍った滝など今まで見たことのない景色を見ることができ感動しました。また、訪問に行った先々で患者さんやその家族からいろいろなお話を聞き、外は寒くてもいつも暖かな気持ちになり、私の方が元気をもらっているようでした。
高千穂町国民健康保険病院での地域医療研修を振り返ると、あっという間にすぎた1ヶ月で毎日がとても充実していました。西臼杵地域の中核病院での外来入院診療、訪問診療、地域包括など様々な研修をさせていただき、また開業医の先生に1日同行して地域医療における開業医の役割も学ぶことができ本当に貴重な経験でした。
久米院長、押方先生をはじめ内科の先生方、病院スタッフの方々、そして研修に協力してくださった地域の方々、本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。
高千穂で学んだことを今後活かしていきたいと思います。