院長の部屋
令和2年4月 新年度を迎えて
高千穂町国民健康保険病院のホームページへお越し下さいまして、ありがとうございます。
今年は4月に、多くの医師の異動がありました。 整形外科の北堀先生は潤和会記念病院へ、内科の二宮先生は県立宮崎病院へそれぞれ異動となりました。皆さんにもお世話になりました。
当院には、まず腎臓内科に、佐藤祐二先生が来てくれました。前任の宮崎大学医学部附属病院では准教授(昔の助教授)をされていました。先生は日本透析医学会の指導医、認定専門医でもありますので、現在、透析を受けている患者さんにとっては、心強いことと思います。 また、透析の予備軍となる慢性腎臓病の患者さんも診てもらっています。
整形外科には福嶋先生が来てくれました。早速、塩月先生と忙しく手術をしています。
その他に内科には、塚本智大先生、押方真先生、奥野綾子先生が来てくれました。みんな、宮崎市内の大規模病院での経験があります。3人とも真面目に診療に取り組んでおり、充分な戦力になってくれそうです。佐藤先生も含めると、内科は3人増員となりました。町内には高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの外来患者さん、肺炎や心不全などの入院患者さんが多いので、内科医が増える事は良いことだと思います。今後は、それぞれの病気が重症になることを防ぐアプローチも必要になると考えています。新型コロナウイルス感染症疑い患者さんに対する帰国者・接触者外来は、当院の内科医が充分な感染防護のもとで行っています。
3月17日、高千穂町内で2人の新型コロナウイルス感染が確認されました。 当院ではその日のうちに、臨時の院内感染対策委員会を開きました。この時、中心になったのが、感染管理室長でした。当日の会議資料には、「患者さんの背景の説明」、「スタッフの濃厚接触者のリストアップ」、「今後の外来・入院診療について」、「風評被害対策について」などの項目が細かく議題として挙げられていました。これらについて院内感染対策委員、その他の関係者が対応を協議して、看護師1人を高リスクと判断して14日間の就業制限とし、他の数名のスタッフを低リスクとして14日間の健康観察としました。会議が終わってからは、各部署で手分けして作業でした。事務室では町内放送用の原稿を考え、医療安全管理室、医療連携室、副院長は入院患者さんに向けた文章をつくりました。院外の非常勤医師、当直医の一部が来られなくなったため、常勤医が対応しました。その後1か月以上、院内外に感染者は発生していません。院内感染することなく、平常業務に戻ることができたのは、感染管理室を中心に、全職員が一丸となって感染予防に努めた結果だと思います。第2波、第3波に備えて、院内感染対策を整備しますので、安心して当院での治療を受けてください。
話は変わりますが、地域の病院・医院はどこでも、医師不足の問題を抱えています。当院ではこれに対する対策の1つとして、医学部学生に対して奨学金を貸与しています。 西臼杵郡出身の医学部生に対して、大学を卒業するまでの最高6年間、入学式や修学資金を対応するというものです。卒業後、臨床研修や専門研修を受ける期間(5年間を限度)の猶予の後、当院に3年間勤務すれば、返還が免除されます。地域で教育や研修を受けた医学生や研修医は、地域に戻って勤務する割合が高いという研究結果もあります。西臼杵郡出身の医師が、短期間ずつでも、地域の医療を担ってくれればと思っています。
薬学部学生に対しても、同様の制度があります。薬剤師には大きく分けて病院薬剤師と薬局薬剤師がいます。調剤薬局で働く薬局薬剤師は、薬剤師の57%を占め、最も多くなります。勤務時間はある程度決められており、休みも取りやすいとされています。一方で病院薬剤師は17%の割合です。病院内で委員会などの仕事も受け持つため、勤務時間が長くなり、休日も交代で勤務しなければならないなどの理由で、敬遠されることもあるようです。しかし病院薬剤師は、医師や看護師などとともに、チームとして治療にあたるため、急性期の症状や治療を知ることができ、病気を深く理解することができます。 何よりも、自分の調剤した薬が患者さんの病気を治しているのか、そうでないのかを自分の目で確かめることができます。 もし、これから薬剤師を目指すという方がいらっしゃれば、病院で働くということも選択肢に加えてみてください。
本年度も、皆さんが気持ちよく、安心して町立病院を利用していただけますよう、職員一同、頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。
令和2年4月
病院長 久米 修一