背景色変更
文字の大きさ
メニューはこちら

院長の部屋

院長の部屋

病院長の画像

平成27年10月 半年が過ぎて

 高千穂町国民健康保険病院のホームページへお越し下さいまして、ありがとうございます。

 高千穂町に来て半年が過ぎました。これまでに病院や高千穂町について感じたこと、今、病院で取り組んでいる事、今後、予定していることについてお話ししたいと思います。

宮崎県は広い面積を持ち、南北に長い地形となっています。県庁所在地であり、宮崎大学医学部がある宮崎市が県の南部にあるため、県南の方に医師が多く、県北の特に山間部では人口当たりの医師数が減っています。そこで、地域医療勤務の義務のある自治医科大学卒業(宮崎県全体で約10名)が、これらの地域に派遣されています。

 西臼杵郡に3名派遣されている自治医大卒業の医師は、全員、当院の内科で勤務していますので、宮崎県庁の福祉保険部からも、郡内の公立病院、特に医師数の少ない五ヶ瀬町病院の応援をするように依頼されています。そのため、院長が月に2回、当院の当直を行い、その間、当院の医師が五ヶ瀬町病院の当直をしているところです。また、週に1回、半日ですが、当院の整形外科医が五ヶ瀬町病院で外来勤務をしています。 

 この医師不足に対しては、熊本大学や宮崎大学の各医局、済生会熊本病院への働きかけを行い、病院のホームページでも募集しているところです。その他に国保診療施設連絡協議会、自治体病院協議会の会議には積極的に出席して、情報収集をしています。また、自治医科大学卒業生との会議、懇親会などで直接、若い医師と話をしています。宮崎大学の研修医も受け入れていますし(今年度は1ヵ月ずつ、現在までに6名)、宮崎大学の医学生地域医療ガイダンスにも3名の学生が来てくれました。こうした努力の甲斐あってか、当院のホームページを見て、興味を持たれ、病院に見学に来られた先生が数名いらっしゃいました。それから、本町出身者である医学生に対し、奨学金を貸与する制度もありますので、興味がある方は病院のホームページをご覧ください。

 9月中旬、延岡保健所で延岡西臼杵地域医療構想調整会議がありました。ここでは、延岡市と西臼杵郡の公立病院、医師会、歯科医師会、延岡保健所、高千穂保健所のそれぞれ代表者が集まり、①地域医療構想の策定に関すること、②地域の病院・有床診療所が担うべき病床機能に関すること、③病床機能報告制度による情報に関すること、④地域医療構想の実現に向けた地域医療介護総合確保基金の活用に関すること、⑤在宅医療を含む地域包括ケアシステム、医療従事者の確保、診療科ごとの連携その他の地域医療構想推進に関することなどについて今後、協議していくことが決まりました。これは、団塊の世代が75才以上になる2025年に向けて、増大する医療・介護サービスの需要を見据え、地域が目指すべき医療供給体制について2次医療圏ごとに地域医療構想を策定する必要があるからです。この頃に医療・介護需要が最大になると考えられますが、医療資源は限られており、医療の機能に見合った資源の効果的かつ効率的な配置を促し、急性期から回復期、慢性期まで患者が状態に見合った病床で、状態にふさわしい、より良質な医療サービスを受けられる体制を作ることが必要とされています。高齢者人口の増加には大きな地域差があり、地域によっては高齢者人口の減少が既に開始されており、病床数の削減も検討されるところです。

 時期は前後しますが、7月に隣の保健福祉総合センターで「生活習慣病における医療・地域連携会議」が行われました。健診のデータを見ると、高千穂町は、宮崎県あるいは全国の平均と比較して、糖尿病の罹患率が高いことがわかっており、これが動脈硬化や慢性腎不全、その他の成人病が多い原因と考えられています。そこで看護師、保健師などによる生活習慣の指導、食事の指導を行うとともに、町内の事業所、公民館に出向いて当院の医師による出前講座を行うこととしました。内科が糖尿病・高血圧などの生活習慣病、外科が胃癌・肺癌・大腸癌などの悪性疾患、整形外科がロコモティブシンドロームについて、各科の得意な分野を解説します。準備を進めて、10月から始めますので、多数のご参加をお待ちしています。

 2014年度診療報酬改定では亜急性期病棟が2014年9月から廃止となり、新たに「地域包括ケア病床」が新設されました。その役割として、①急性期病床からの患者の受け入れ、②在宅等にいる患者の緊急時の受け入れ、③在宅への復帰支援一の3つの機能が挙げられます。看護配置13対1以上、専従の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士1人以上、データ提出加算の届出を行っていること、リハビリテーションを提供する患者については1日平均2単位以上を提供していること、在宅復帰率7割以上などの厳しい条件があります。今年の4月からデータ提出加算の届出を行い、7月から9月にかけてリハビリテーションの実績をとり、11月から地域包括ケア病床を設置する予定です。

 まだまだ歩みは遅いですが、一歩一歩、前に進んで行きたいと思いますので、ご支援のほどお願いします。

平成27年10月
病院長 久米 修一

採用のご案内笑顔で患者と接してくれるあなたをお待ちしております。