燈々無尽
このコラムは高千穂町の広報誌にも「病院だより」として掲載しています。
第27回
「はしか」はどんな病気か
内科医 興梠智子
2016年9月
最近、はしか(麻疹)の集団感染が問題となっています。
皆さんは「はしか」ってどんな病気がご存知でしょうか?
「はしか」はウイルスによって引き起こされる感染症です。感染力が非常に強いことが特徴で、はしかに対して免疫をもってない人は感染した人と同じ空間にいるだけでうつることがあります。ウイルス感染から10~12日の潜伏期を経て発症します。発熱や咳・鼻水などのかぜに似たような症状が数日間続いた後、口の中に白い小斑点が出現します。この斑点ははしかに特徴的でKoplik斑と呼ばれます。その後、一旦解熱しますが、再び40度近い高熱が出て、同時に顔や体に発疹が広がります。合併症がなければ7~10日後には回復しますが、はしか患者の約3割が合併症を起こすとされ、多いのは肺炎や中耳炎です。また1000人に1人が脳炎を合併し、命の危険もあります。
はしかの特効薬はなく、症状に応じて治療する対症療法しかありません。高熱が出て食事がとれず、脱水症状が出た場合は点滴を行います。肺炎や中耳炎などの細菌感染症を合併した場合は抗菌薬が必要となります。
はしかは手洗いやうがい、マスク装着だけでは感染を防ぐことはできず、予防にはワクチン接種が有効とされています。ワクチンを接種しておけば、かかったとしても重症化する危険性が低くなります。はしかは子どもだけがかかる病気ではなく、大人でもかかります。ワクチンを接種していない方、接種したかどうかわからない方は病院にご相談下さい。
発熱や咳などの症状があり、はしかの患者と接触した可能性がある方は注意が必要です。移動中や待合室でさらに感染を広げるおそれがあるからです。病院受診前に必ず電話で連絡をお願いします。