燈々無尽
このコラムは高千穂町の広報誌にも「病院だより」として掲載しています。
第10回
検診を受けて早期治療
外科医 黒木秀幸
高千穂町広報誌2014年7月号掲載分
4月から高千穂町国民健康保険病院で勤務しております。
今回は胃カメラ(上部内視鏡検査)、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)について、御紹介しようと思います。当科では胃カメラは月曜日から金曜日の午前中、大腸カメラは月・水・金の午後に行っています。検診を利用して検査を受けられる方もたくさんおられます。
まず、胃カメラですが、胃癌、食道癌の通常検診での発見率は0.1-0.2%と言われています。1000人が検査を受けて1-2人が癌を発見されます。検診で発見された胃癌のうち、94.7%は早期胃癌で5.3%は進行胃癌です。それに対して、何か症状(心窩部の痛み・不快感・違和感、胸焼け、吐き気、食欲不振など)があって、胃カメラを受けて発見された胃癌のうち早期胃癌は33.7%にとどまり、進行胃癌は66.7%にも上ります。
大腸カメラは検診時の便潜血反応陽性で行われることが多いですが、ある報告では便潜血陽性の950例のうち484例が大腸カメラを受けられ、15例(15/484 3.1%)で大腸癌が発見されています。また、便潜血反応にかかわらず、大腸カメラを行った場合癌の発見率は1.3%と言われています。したがって、大腸癌を発見するためには、便潜血反応は有用な検査と考えられます。
検診で発見される癌は多くはありませんが、癌が発見された場合、早期治療が可能になりますので、検診は積極的に利用することをお勧めします。